戦場のボヘミアン カメラマン 石川文洋戦場のボヘミアン カメラマン 石川文洋

戦場のボヘミアン カメラマン 石川文洋戦場のボヘミアン カメラマン 石川文洋

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  • 特報

ベトナムの戦場で地獄を見た石川文洋は、
名もなき人々の中に希望を見出し、市井の人々を撮り続けた

日本写真協会年度賞、日本雑誌写真記者協会賞、日本ジャーナリスト会議 (JCJ) 特別賞、スウェーデン賞の他、ベトナム政府から文化通信事業功労賞も受賞した報道写真家の石川文洋。戦場取材が許された最後の戦争であるベトナム戦争で活躍したロバート・キャパ、沢田教一、一ノ瀬泰造ら報道写真家が戦地で亡くなる中で、存命していた神話的人物だった彼が2026年8月23日逝去した。

ベトナム戦争中、同時期にサイゴンで親交があった作家の開高健は文洋を「つねに右の目は熱く、左の目は冷静でありつづけるカメラ青年」と表現した。 ベトナムの取材で文洋と出会った石原慎太郎は、「沖縄という、祖国の中でも唯一、特異な状況にある故郷を持った彼が、あの邪悪な戦争を見る眼は確かに我々内地人間とは違っているに違いない」と書いた。 ホーチミン市にある戦争証跡博物館の副館長のフィン・ゴック・ヴァンは、「単なる技術ではなく、心で撮っているから弱い者たちの本当の姿を表せるのだと思う」と絶賛した。

そんな文洋だが、沖縄戦の時に沖縄にいなかったため、沖縄戦を体験していないということがコンプレックスになっていた。文洋は、4歳で沖縄を離れたが、沖縄生まれのうちなーんちゅだと思っている。ベトナムやカンボジアで戦争や大虐殺の現場を見てきたからこそ、他の人と違った視点で伝える必要性を感じていた。文洋は、戦闘場面だけでなく、無名な人々の命を見つめた。

9回死にそうになりながらも、命懸けで撮影を続ける戦争目撃者としての生涯を、滝藤賢一によるモノローグで振り返る。

あらすじ

文洋が3歳になった1941年に太平洋戦争が始まり、一家は沖縄から本土へ移住。1964年、文洋は27ドルのみ持って日本を出て、香港を経由し、ベトナムのサイゴンに到着した。27歳になる前日、文洋が撮った銃撃された米軍少佐のネガをAP通信が買いあげ世界に配信。この瞬間に“国際報道カメラマン石川文洋”が誕生した。

1968年に一時帰国すると、ベトナムでの米軍プレスカードが認められ、どのマスコミも取材ができなかった沖縄米軍基地の取材が許され、後方基地としてベトナム戦争に参加する沖縄の姿を浮き彫りにした。

1979年のポルポト政権崩壊後、石川文洋は取材が許され、カンボジアの首都プノンペンに入り、最新のカンボジアの実情を一冊の本(「大虐殺」)にまとめた。「カンボジアで、同じ民族同士が殺すわけがない。虐殺はなかった」と批判に遭った文洋だが、「もし大虐殺がなかったことが明らかにされた場合、私は現場に行きながら事実を見誤った責任を取って今後、報道にたずさわる仕事をやめる覚悟です」とその内容に絶対の自信を見せた。

戦場では不死身だった文洋だが、68歳の秋に心筋梗塞を起こし、心臓の筋肉が壊死して第一種身体障碍者となった。しかし、病気を抱えている人が希望をもってくれればと考え、3500キロの日本縦断の旅を、約10カ月で完全踏破。辺野古での撮影は10年以上に及んだ。

2025年、ベトナム戦争終結50年にあたり、ベトナム政府から式典への招待が届き、ホーチミンを再訪。そこで文洋が会ったのは…

【監督・撮影】河邑 厚徳(かわむら あつのり)

映画監督。元NHKディレクター
1971年にNHK入局以来、40年以上、ETV特集・NHKスペシャルを中心に現代史、芸術、科学、宗教、環境などを切り口にドキュメンタリーを制作。現代の課題に独創的な方法論で斬り込み、テレビならではの画期的な問題提起をするスタイルが特徴。これまで制作してきた番組は、国内外の賞で入賞するなど、その独自の手法は評価を得ている。定年後はフリーで映像制作を続ける。著書も多数あり、「チベット死者の書 仏典に秘められた死と転生」(1993)は6万部、グループ現代との共著「エンデの遺言 根源からお金を問うこと」(2000)は20万部を突破している。

<映画>
『天のしずく 辰巳芳子 “いのちのスープ"』(2012)
『3D大津波 3.11未来への記憶』(2015)
『笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ』(2017)
『天地悠々 兜太・俳句の一本道』(2019)
『丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図全14部』(2022)
『鉛筆と銃 長倉洋海の眸』(2023)

<放送番組>
特集ドキュメンタリー「がん宣告」「私の太平洋戦争~昭和万葉集より~」、NHK特集「シルクロード」、NHKスペシャル「アインシュタイン・ロマン」「チベット死者の書」「長崎の子・映像の記憶」、BSスペシャル「エンデの遺言~根源からお金を問う~」、ETV特集「一枚のハガキ・新藤兼人」「霊魂を撮る眼・江成常夫」、日曜美術館「無言館の扉 語り続ける戦没画学生」など多数。

コメント

  • 河邑厚徳
    監督
    河邑厚徳

    石川文洋さんが亡くなられて、巨木を失った悲しみに言葉を失った。戦場では何度も死にかけてそのたびによみがえった不死身の戦場カメラマンが世界から喪われた。私は50年以上もドキュメンタリーを作ってきたが、文洋さんの誠実で優しい人格に魅了され続けた。改めて2025年のベトナム戦争の終結の日に、ホーチミンで飲んだビールを思い出している。世界無銭旅行からサイゴンに行って、文洋さんは生涯のテーマを見つけた。戦争の真実を全エネルギーをかけて記録した伝説のジャーナリストだ。世界は戦争を続けて、終わることがない。その愚かさを文洋さんの渾身の写真が告発している。平和のバトンを残された私たちが受け継がなくてはとの覚悟がある。本作の取材は2018年7月の北海道宗谷岬から始まり、2025年の4月30日のホーチミンまで7年に及んだ。映画が完成した。どのように見て下さるだろう。文洋さんの墓前に掲げ、やさしい笑顔をもう一度見たい。旅立たれた文洋さんに感謝しても感謝しても足りない。ありがとうございました。世界が平和になる日まで見守ってください。

  • 滝藤賢一
    モノローグ
    滝藤賢一

    『ベトナム報道35年』という石川文洋さんの写真の記録を見ました。あまりの惨さに目を背けたくなる。腹の底から怒りが湧いてくると同時に、この地獄を生き抜いた石川文洋さんの運と生命力に、ジャーナリストの執念を感じました。そしてこのモノローグは、どの仕事を差し置いてもやらなければならないと信じて疑わなかったです。今、この現代にこそ、世界中の人が見なければならない映画だと思えてなりません。

    合掌

  • 竹本英史
    朗読
    竹本英史

    朗読を担当させていただいた竹本と申します。

    収録に臨むにあたりアプローチに悩みましたが、様々な意見を持つ方々に情報をフラットに伝えたい、との監督の意向を受け普段の仕事とは違う読み方に調整しました。私にとって新しいアプローチとなった今回の朗読を通して、本作をご覧になった皆様がポジティブなメッセージを受け取っていただければ幸いです。

    『戦場のボヘミアン』、是非ご覧ください。

劇場情報

11.28[土]より新宿K’s cinemaほか全国順次公開
2026年10月8日現在
地域 劇場 公開日 備考
北海道 シアターキノ 近日公開
北海道 大黒座 近日公開
東京都 新宿K's cinema 11/28(土)~
神奈川 横浜シネマリン 12/5(土)~
栃木 宇都宮ヒカリ座 12/18(金)~
栃木 小山シネマロブレ 12/4(金)~
群馬 前橋シネマハウス 12/12(土)~12/25(金)
長野 千石劇場 11/28(土)~
長野 上田映劇 12/4(金)~
長野 松本CINEMAセレクト 近日公開
愛知 シネマスコーレ 近日公開
静岡 浜松シネマイーラ 近日公開
京都 京都シネマ 11/28(土)~
大阪 第七藝術劇場 11/28(土)~
兵庫 シネ・ピピア 近日公開
兵庫 元町映画館 近日公開
兵庫 洲本オリオン 11/28(土)〜12/2(水) 木曜定休
岡山 岡山メルパ 12/4(金)~
広島 八丁座 近日公開
大分 シネマ5 近日公開
大分 別府ブルーバード劇場 近日公開
宮崎 宮崎キネマ館 近日公開
沖縄 桜坂劇場 1/2(土)~